2030年01月15日

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ここは管理人であるsmile-oneが
大切にしている記憶を忘れないように
記録を残しているブログです。

ある意味自分史に近いかもしれません。
今の私をつくった祖父との生活。
純粋な心を思い出させてくれる妹の話。
大切な友人の話。

どれをとっても私にとっては、
宝物です。
皆さんにも何かを感じていただければ嬉しいのですが。

※タイトルをクリックするとそのお話のページに移行します。


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尊敬するに、値する
尊敬するに、値するU

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生きてく術は、ココにある
生きてく術は、ココにあるU
生きてく術は、ココにあるV
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珍獣の友〜出会い編〜
珍獣の友〜結ばれた絆編〜
珍獣の友〜爆笑エピソード1メイク編〜
珍獣の友〜爆笑エピソード2ズラ編〜
珍獣の友〜才能〜
珍獣の友〜娘であり、夫であり、父であり、母であり〜
珍獣の友・番外編〜珍獣の友の息子〜

++私がイラストを描くきっかけとなった友の話++
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花のように
告白
見えない応援
祈り
天に還る

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posted by smile-one at 01:22| Top | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月15日

天に還る

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骨髄移植の手術を受けるため、彼女は地元高知を離れ、香川県の病院に移りました。
その時が刻一刻と近づき、私の鼓動も早まります。
手術が始まっても、私に出来ることなど、何もありません。
ただ、祈り、彼女が元気な姿でまた、高知に戻ってくることを願うばかりです。
手術後、彼女はすぐに手紙をくれました。
骨髄が定着するまでの、2〜3日ほどは、高熱が出てとても辛かったようです。
骨髄を提供して下さったドナーの方にひたすら感謝し、彼女は泣きごとひとつ漏らしませんでした。

そして、1週間が過ぎたころ、熱もひき彼女に安らぎの時が訪れたのです。
心配された拒否反応もなく、骨髄が彼女の中で息づき始めたのでした。
”ふたり分の命”
彼女はそう、表現しました。
「私は、一度お母さんから命を与えてもらい、二度目にドナーの方から命を授かりました。ふたり分の命の重さをしっかり受け止め、これからの人生は、それに恥じないようがんばりたい」
そう、決意のほどが、書かれてありました。
命の尊さ、そして健康の有難さ。
病気になって失ったものも沢山ありますが、それによって得たものは、何にも代え難い、命そのものなのです。
彼女がまたひとつ強くなり、優しさに溢れた人間になったようで、私にはとても眩しく映りました。
手紙のやりとりで、彼女が順調に快復している様子が窺え、私は再び会える日のことばかり、考えていました。
そんなときです。
彼女からの手紙がある日を境にプツリ、と、途絶えてしまったのです。
まさか、という気持ちと、そんなはずない、という気持ちが私の中で、入り乱れていました。
何度か手紙を出すものの、返信は返ってきません。


そうして、しばらくたったある日。
私は遂に、思い立って彼女の家を訪ねました。
出迎えてくれたのは、彼女の母親と、彼女の遺影でした。
写真を見ても、お母さんから亡くなったと聞かされても、しばらくは信じることができませんでした。
彼女の遺影の周りには、彼女が大好きだったディズニーのプーさん人形が、山のように飾られていました。
「お友だちが持ってきてくれるのよ。寂しくないようにって」
お母さんが、ポツリと言いました。
「あなたも、持ってきてくれたのね。みんなこの子が好きなものを、ちゃんと知ってくれてるのが、とても嬉しい。」
私は、思わず自分が手に抱えている人形を見ました。
ここへ来る途中、買ってきた、プーさん。
こんな形で渡すことになるなんて、夢にも思わずに。
「来てくれたよ。大好きなスマちゃんが」
お母さんが、写真の彼女に優しく話しかけます。
「あなたのことばかり、話してくれてたんですよ。病院で。お手紙いつも楽しみにしてたみたい。最後は、バタバタして、お知らせできなくてごめんなさいね。私もまだ信じられないの。突然のことで、眠るようにして、亡くなっていたから。生きてるんじゃないかって思ってしまうの」
彼女は容態が急変して、お母さんもその瞬間には、立ち会えなかったそうです。
その顔は、穏やかで、優しくて、安らかだったということです。


彼女は、生きて高知に帰ることはかないませんでした。
その肉体はこの世から消滅してしまいましたが、彼女の魂、残していった想いは、ずっと私の中に生き続けています。
今日も、明日も、これからも、ずっと・・・・。
posted by smile-one at 00:56| 天国の友の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

祈り

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いつも、いつも、心が弱くなったとき、体調が思わしくないとき、彼女を思い出します。
私の傍に、そっと寄り添ってくれている彼女。
その姿は、いつも変わりません。
彼女をカラーに例えると、ピンクです。ほわっと柔らかな花のような色。

闘病生活に突入してからも、彼女はずっと手紙を送ってくれました。
今どういう治療を行っているのか、彼女の心の内、それらが克明に記された手紙です。
彼女が再び健康な体を取り戻すためには、骨髄移植という選択しかありませんでした。
しかしながら、皆さんもご存じの通り、患者の数よりドナー登録して頂いてる方々は、圧倒的に少なく、もし現われたとしても、骨髄の型が一致する確率は更に低いものなのです。
ドナーが現れるのを待つ間、彼女は抗癌治療を行っていました。
放射線を浴びせ、癌を照射するというものです。
その治療法は、患者の体力を奪うだけでなく、精神的ダメージも相当なものでした。
女性にとってはつらい副作用も多々現われます。
まず、髪の毛が抜けおちていくのです。
彼女も、髪を梳かす度に、大量の髪の毛が、ゴッソリと抜けおちていくということを、
手紙に書いていました。
ですが、彼女から送られてきた写真には、いつも笑顔がありました。
毛糸の帽子をスッポリと被り、ピースサインまでしているのです。
どんなにかショックだったろうに。
彼女の心中を慮ると、こちらの胸が苦しくなりました。
それでも、笑って「これは元気になるための、第一歩」と語れる彼女の強さに、私が落ち込んでいる場合じゃない、と、心新たに思わされるのです。


そんな中、彼女は素晴らしい女性との出会いを果たします。
それは、同じ病気に侵されながら、骨髄移植によって健康を取り戻し、今の段階では再発も見られず、元気に社会復帰を果たしているという女性でした。
しかも、その女性は自らの体験をもとに、骨髄移植の大切さを訴え、ドナー登録をしてもらうための、骨髄バンク推進団体の副会長をされている方だそうなのです。
(現在はわかりませんが)
彼女は、その女性との出会いによって、ますます病気と闘う勇気が湧いてきたように見えました。
手紙にはその方とのやり取りが楽しそうに記され、自分も元気になってメンバーとなり、骨髄バンクの大切さを訴えるお手伝いをしたい。
力強い言葉でそう書かれていました。
病気の人間にとって、目標が出来るということはとても重要な意味があります。
その目標に向かって生きる希望を見出すことが出来るからです。
彼女はますます、生きる、ということに貪欲になり、つらい治療も受け入れ、ひたすらドナーが現れるのを待っていました。
そして、ついにその日がやってくることになるのです。

posted by smile-one at 00:53| 天国の友の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

見えない応援

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彼女からの電話を切ったあと、しばらく呆然としていました。
白血病。
それは、テレビドラマなどでよく耳にする病名でした。
でも、今聞いたばかりの告白は、ドラマや映画のセリフではありません。
私の大切な友人から告白されたもの。
今でもそのときの状況を思い出すことが私には、できません。
私は一体、電話で彼女にどんな言葉をかけたのか。
どれくらいの間、話をしていたのか。
どうやって、電話を切ったのか。
一切記憶がないのです。
もしかして、何もいえずに無言だったのかもしれないし、動揺して的外れなことを言ったかもしれません。
しばらく、そうしてぼんやりした後、私は考えました。
これから先、私が彼女にしてあげられることは何だろう。
病気の人に「がんばって」という言葉をかけることなど、私には出来ない。
もう、十分にがんばってるはずだから。
そうやって考えていくと、どんな言葉も必要でないような気がしてきます。
そしてついには、かける言葉を消失してしまいました。

電話で告白を受けてから3日後。
手紙がポストに投函されていました。
懐かしい、愛らしい文字で書かれた宛名。
彼女の字だとすぐにわかりました。
封を切る手が微かに震えます。
読みたい。
だけど、怖い。
ふたつの心がせめぎ合っていました。
便せんをそっと開き、大好きな彼女の字を見て、何故だかとても安心しました。
しっかりと力強い筆致で、その文字が書きつづられていたからです。
手紙には病状、現在の治療法、心境などが細かく丁寧に書き込まれていました。
そして、読み進めていくうちに、
「一番嬉しかったのは」
という文字が目に止まりました。
「スマがごく自然に受け止めてくれたことです。大げさでもあっさりでもなく、とても自然な形で。そのことが一番嬉しかった。告白して良かった。ううん。だからこそ、告白したかったんだと思った」
手紙にはそう、続けられていました。
さらに。
「一番最初に告白したかった。きっと、スマなら大丈夫。私の病気をしっても、硬くなったり、変な遠慮をしたりしない。そう信じてたから。そして、その通りだった。他の友人にも数人には告白したけど、泣いたり、私以上に動揺してる子が多くて、まいっちゃったから。泣きたいのは私なんだよ。そう言いたかったけど、言えなくて。支えてほしいけど、変な気遣いされるのはちょっと嫌だった。だから、あまり話さなくなった。こうして手紙を書いてるのもスマだけ」
そう、書かれていました。
その手紙を読んで、私は少しばかり考えてしまいました。
それほど、大きな器じゃないのに。
ちゃんと受け止めてあげられるのか。
それだけの度胸が私にあるのか。
考えた挙句。
単純なことに気づいたのです。
何をバカなことをグタグタ言ってるんだろう。
彼女は今までと何ひとつ、変わってないじゃないか。
それなら、私も何ひとつ変わることなく、これまでと同じにしてればいい。
だけど逆に、そうすることが一番、難しいことかもしれない。
でも、出来る。
私は、思いました。
彼女は大切な友人。
かけがえのない友人。
病気であろうとなかろうと、支えあい、助けあい、労りあうのは当たり前。
だったら、私は彼女を支えられる。
特別なんかじゃない。
今まで通りでいいのだから。

そうして、彼女と私は今まで通り、電話で普通に会話し、手紙のやり取りをしていくことになります。
posted by smile-one at 00:50| 天国の友の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

告白

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私が彼女と同じ職場で過ごせたのは、1年間だけでした。
もともと産休の代役で雇われたのですから。
そして、最後の日、彼女は私に言いました。
「さよらならは、言わないね。だって仕事場が離れるだけでしょ。私とスマは友達だから、お別れはないんだよ」
と。
過ごした時間は1年間だったかもしれませんが、その時間はとても濃く、充実したものでした。
彼女と私は、お互いの心の糸が繋がっていたのです。
その糸は目に見えないくらい細くて透明だけれど、決して切れない強さがありました。

仕事を辞めてからも、電話や手紙のやり取りが続き、お互いの近況を知らせ合っていたある日のこと。
珍しく夜遅い時間に、彼女から電話がありました。
「スマ、今大丈夫?」
彼女の声はとても穏やかで、落ち着いていたように思います。
「大丈夫だよ」
そう、私が答えたとき、微かに息を吸い込む音が、受話器の向こう側から洩れ聞こえてきました。
「そう、じゃあちょっと話してもいい?」
そのとき、少しだけ予感がしました。
何かいつもの彼女と様子が違う、そんな予感。
「実はね。もうダイエットする必要なくなっちゃった」
以前お話したとおり、彼女と私はダイエットメイトでした。
電話をもらう一か月ほど前、彼女は少しぽっちゃりしていたのです。
そのときには冗談ぽく、
「このままじゃやばいね。だるまになっちゃう。真剣に痩せなきゃ」
と、笑って話していたのですが。
「何か画期的なダイエット法見つけたの」
私は胸騒ぎを静めるため、話をごまかそうとしていたのかもしれません。
彼女は、くすっ、と小さな声で笑い、そんな私の気持ちを、敏感に察知したようでした。
「ううん。そうじゃないのよ。実は今すごく体重が減って、これ以上痩せようがなくなったのね」
胸の動悸が速まります。
ドクン、ドクン。
どうか、私の直感がはずれますように。
私は、密に祈りました。
しかしながら、彼女が次に発した言葉で、天に祈りが届かなかったことを、知らされるのです。
「落ち着いて聞いてね。私今病院なの」
そこで、深呼吸をひとつすると、彼女は意を決したように、こう続けました。
「私ね。白血病なんだって」
私はくらくらと、めまいがしました。
一番つらい告白をしてくれたのに、その彼女に返す言葉が見当たりません。
そのときの衝撃を表現できる言葉を、私は今なお、見つけることができずにいるのです。
彼女の告白は、静かに始まりました。
posted by smile-one at 00:47| 天国の友の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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